お母さん、ゆっくり行こう

「お母さん、ゆっくり行こう」

先日の親子の会の活動中、娘のKHに言われた一言。

いつもは仲良しの女の子とあっという間に私をおいて先に行ってしまう娘が、
この日は最後尾に私と二人きりになり、歩みを進めようとしていた私にこう言った。

「そうだね。ゆっくり行こう」

そう応じた。

もうすぐ第2子の出産を迎える私。
娘と二人きりで森を散歩する時間も残りわずか。

二人で階段に座り込み、近くに落ちていたどんぐりや真っ赤な葉を手に乗せる。

「お母さん、さあ、サラダを召し上がれ」って
細長い木の棒を差し出して娘が言った。

「これも食べて、あれも食べて」と
木の棒をお箸代わりにして、器用に石やら葉っぱやらをつまんで私の手に乗せていく。
娘が広げてくれる、豊かな世界。
秋の森のごちそうたち。


ふと、今年の4月に同じこの森を娘と二人で歩いた日のことを思い出した。

この日も座り込んで、木の棒をお箸にして、石をつまむことに必死になってたなあ。
その時は全然うまくつまめなくて、「できない!お母さんやって!」とイライラしてたな。
私もそんな娘に、ちょっとイライラして「それならお箸はやめて、もうちょっと先まで歩こう」
って言った覚えがある。

娘と二人きりでスタートした、森のようちえん。

そこにとどまっていたら、いつまでも二人きりな気がして、
前に進もう。目的地に早く着こう。
そんな気持ちでお散歩していた気がする。
娘にとって一番の仲間になって、一緒に遊ぼうって決めていたのに
娘の作る世界にすら入っていかなかった気がする。

娘は、どんな気持ちで二人きりの時間を過ごしていたのだろう。
そういえば、「今日は森に行きたくない」って
1学期はよく言ってたな。

「なんで森に行きたくないの?」って聞いても、何も答えてくれなかったけど、
6月のある日、昼寝から目覚めたあとにポソっと
「お母さん、早くようちえんにお友達を連れてきて」
って言われたことがあった。

そうだよね。それが本音だよね。
ずっと我慢してたんだよね。
友達いなくてつまんないよね。
私、あなたの仲間にもなれてなかったよね。

こどもの庭をこのまま続けていくことが単なる私のエゴに思えてきて、苦しい時期だった。

「お友達のたくさんいる保育園にいく?」
なんて、気の弱いことを聞いたりしたこともあった。

でも娘はいつも、
「お母さんのいるようちえんがいい。こどもの庭ようちえんにお友達が欲しい」
そう言ってくれた。

夏休み前、ぽつぽつと届いてきた入園希望の連絡。
メールが届くたびに、娘と抱き合って涙して喜んだ。

2学期になり、娘が毎日、森に行くのを楽しみにするようになった。
来年度入園児さんとの仲間意識も芽生えてきて、お友達の話を嬉しそうにするようになった。
「仲良しのお友達がいてうれしいね。お友達と遊ぶのは楽しいね」
私がこう言ったら、娘がこう言ってくれた。

「でもお母さんと遊ぶのが一番好きだよ」

お母さんを仲間にしてくれてありがとう。
ずっと一緒にいてくれてありがとう。心からそう思った。


先日、私が昨年研修生としてお世話になっていた『自然育児 森のわらべ 多治見園』主催のお祭りに出店させてもらった。

新入園児のお母さん全員で、企画、準備を進めての参加。

言い出しっぺの私は、ほとんど何もしなかったけど、
みんなそれぞれが、それぞれの力を発揮して、無事に終えることができた。
なんとも言えない心地よい空気と、仲間がいる安心感があった。
私たちの場所がちゃんとそこにあった。

娘も私もなんだか夢見心地で、祭りの時間の間、ふわふわしていた。

その日の夜、
「今日はこどもの庭の○○ちゃんも○○くんも、みんないたね。」
「森わらまつり、楽しかった。またみんなで行きたい」
という娘。
「また来年もみんなで行こう」
と約束した。


「お母さん、ゆっくり行こう」

もう一度、この言葉をかみしめてみる。

もう、焦って先を急がなくて大丈夫。
もう、ひたすら目的地だけを目指さなくて大丈夫。

私たち二人には、仲間がいる。

仲間の力を借りて、仲間と一緒に

じっくり楽しもう。
ゆっくり味わおう。

親子で森で過ごす、かけがえのない時間を。
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ばばちゃん










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by kodomononiwa | 2015-11-15 22:50 | ようちえん | Comments(0)
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